toruのブログ

月1くらいで記事書きたい。

OBS Studio 28.0 が HDR のライブ配信に対応したので試してみた

1. 背景と目的

  • 筆者は以前より HDR対応ゲームを YouTube で配信することに興味があった
    • 昨年は 4K HDR 対応のキャプチャデバイスを購入して HDR配信に挑戦した(失敗に終わった)

trev16.hatenablog.com

  • 先日にニュースで OBS Studio 28.0 Beta 1 が HDR の配信に対応したことを知った[1]
  • まだ Beta版だが 実際に HDR配信が可能か試すことにした

おことわり

本記事は OBS Studio 28.0 Beta 1 を使って検証しました。 まだ Beta版ということもあり、記事で紹介した設定値は将来的に変更となる可能性があります。ご了承下さい。

3. 結論

  • OBS Studio 28.0 Beta 1 を使い YouTubeHDR配信が可能であることを確認した

    • HDR配信に必要な OBS の設定値は 4. 詳細 を参照
  • 加えて OBS の制御が SDRのモニターでも可能であることを確認した

    • 例えば以下のデュアルモニター環境を想定する
      • ①メインのゲーミングモニターに PS4 や PS5 の HDRのゲーム画面を表示して実況プレイする
      • ②サブモニターに OBS の画面を表示して配信を制御する
    • この際に②のサブモニターは SDR でも問題ない(Windows OS の「Use HDR」オプションを有効化する必要は無い)
      • OBS が良い感じに HDR to SDR 変換をしてくれる
  • テスト配信の結果は以下を参照

    • OBS の操作が下手でもたついてるので概要欄のタイムスタンプからジャンプすることを推奨

4. 詳細

ここでは 筆者が HDR配信を行うために OBS に設定した内容を書く。 また、確認のため使用したテストパターンも参考資料として添付する。

4.1. OBS で設定した内容

OBS で以下の通りに設定を変更した。

  • ① Stream 設定で Service を「YouTube - HLS」に変更
  • ② Output 設定で Encoder を 「Hardware (NVENC, HEVC)」に変更
  • ③ Advanced 設定で Color Format、Color Space をそれぞれ「P010 (10-bit, 4:2:0, 2 planes)」、「Rec.2100 (PQ)」 に変更
  • ④ キャブチャデバイスの設定で Color Space を「Rec.2100 (PQ)」に変更
説明番号 スクリーンショット

4.2. テストパターンを使用した動作確認

筆者は上記の設定が正しく機能することを確認するため、以下のテストパターンを使ったテスト配信を行った。

筆者はテスト配信を iPhone, iPad, Bravia の3デバイスで見た。 Rampパターンが 768 CV あたりまで白飛びせずに意図通りに光ることを確認した。よって OBS の設定は問題ないと判断した(※)。

冒頭のテスト配信では 03:21 辺りを見るのが分かりやすい。 配信では SDR TP と HDR TP を交互に切り替えて表示しており、HDR ではキッチリと光る様子が確認できる。

※ 筆者が判断した例を以下の図に示す(あいまいな表現なのは何卒ご容赦を)

テストパターンを使って 配信が HDR10 かどうか判断する例

なお、上記のパターン一式 (4K版を含む) は以下の URL からダウンロード可能である(再配布さえしなければ自由に使って構わない)。

drive.google.com

4.3. その他

  • テキストなどの素材は SDRレンジで描画される

    • 冒頭のテスト配信動画の 05:43 辺りを参照
  • 1920x1080 だとノイジーな配信になるのが少々気になった

  • 一方で 3840x2160 で配信した場合はノイズは抑制された
  • PS4 / PS5 を使う場合に「HDR調整」の結果が配信映像として流れるのが少し気になった
    • PS4、PS5 は HDRのゲームをプレイする前に「配信者が使用する TV/ゲーミングモニター」に対して HDR調整を行う
    • この HDR調整結果は配信者が見るのには適しているが、視聴者の HDRバイスでは意図しない表示となる可能性がある
      • この問題をどう解決すれば良いかは分からない
      • 事前のテスト配信で複数の HDR対応デバイスで表示してみて、極端な破綻が起こらなければ OK とする?

5. 感想

こういう検証をするのは楽しい!

そして1ヵ月以上前から書き始めている別記事はいつになったら書き上がるのだろうか…。 (車輪の再発明的な記事なので、結論は出ていてデータも集まってるんだけど、先行事例の資料が読み終わらなくて記事としてまとめられない)

参考資料

[1] obsproject/obs-studio, "OBS Studio 28.0 Beta 1", https://github.com/obsproject/obs-studio/releases/tag/28.0.0-beta1