toruのブログ

月1くらいで記事書きたい。

iPhone 13 Pro 用に 120 fps のテストパターンを作って遊んだ

1. 背景

  • 筆者は昨年、非常に高価な iPhone 13 Pro を購入した
  • ふと「スクリーンタイム」を使って使用時間の多いアプリを確認したところ以下だった
  • 筆者の使い方では先々代スマホiPhone 7 Plus でも全く問題がないことに気づいてしまった
  • これはマズいと思い、iPhone 13 Pro のスペックを活かせるテストパターンを作ることにした

2. 目的

  • iPhone 13 Pro のスペックを活かしたテストパターンを作って遊ぶ

3. 結論

iPhone 13 Pro の ディスプレイが 120 Hz 表示可能な点を利用して、以下の特徴を持つテストパターンを作成した。

  • 60 Hz と 120 Hz の違いが目視確認できる
  • 60 Hz の信号に黒のフレームを挿入することで動画ぼやけの軽減を目視確認できる

作ったものは残念ながら iPhone 13 Pro 上でしかデモができない。どうにか雰囲気を伝えるために iPhone の画面を 240 fps 撮影して 1/8倍速再生したものを以下に示す。

上段のパターンは 60 fps で動いており、再下段の 120 fps と比較して動画ぼやけが目立つことを確認できる。 また中段のパターンは、黒フレームを挿入したことで動画ぼやけの改善を確認できる(繰り返すが iPhone の実機を使わないと効果は目視確認できない)。

作成したファイルは以下に置いた。

drive.google.com

4. 結論に至るまでの経緯

4.1. テストパターンを 120 Hz で表示する方法の確認

まず、どうすれば iPhone 13 Pro を使い 120 Hz でテストパターンを表示できるか調べた。 調査の結果、以下の手順で表示できることが分かった。

  • ① テストパターンを 120 fps の静止画シーケンスファイルとして作成する
  • ② DaVinci Resolve を使って 120 fps の動画ファイルにエンコードする (コーデックは H.265)
  • ③ 動画ファイルを iPhone の Files アプリを使って再生する

4.2. 60 fps と 120 fps の違いを確認するパターンの作成

まず手始めに、白 Window を左右に動かすパターンを作り 60 fps と 120 fps の違いを比較した。 120 fps の方がカクつきが無く良い見た目となることが分かった(当たり前だが)。

ただ、非常に簡素なテストパターンであり、正直見ていて面白くなかった

4.3. 少し凝ったパターンへの改良を実施

白 Window は動かしても面白くなかった。そこで模様を付けることにした。 高周波成分が存在し、動かすことで動画ぼけを視認できるような模様を考えて付与した。

熟考の結果、以下に示す3種類の模様を付与した。60 fps で動かした様子を以下に示す。

4.4. BFI (Black Frame Insertion) の実施

少し話が逸れるが、筆者は RTINGS.com で TV のスペックを確認することが多い[1]。 先日も LG OLED TV の 2022年モデルのスペックを確認していた。

OLED TV の "Black Frame Insertion (BFI) " の項目を見ていた際、筆者は「これと同じことは iPhone 13 Pro でも実現できるのでは?」と思った。

BFI とは LCD や OLED の「ホールド型」表示が原因で生じる動画ぼやけを改善するための機能である (※)。 ひとまず LG C2 OLED の特性を真似して、120Hz 駆動の iPhone 上で BFI を試すことにした。

※10年以上前からある考え方であり、少し検索するだけで様々な論文や解説記事が出てくる[2][3]。よって原理などは本記事では説明しない。

具体的にはテストパターンに対して以下を施した。

  • 60 fps on 120 fps の動画の奇数フレームを黒画面に変更
  • パターンの輝度を2倍に上げる (黒フレーム挿入で輝度が半分に落ちるため)

作成した動画を 1/16倍速再生している様子を以下に示す(画面が明滅しますのでご注意下さい)。

こうして作成した動画を iPhone 上で再生した結果が冒頭の動画である。

5. 感想

スマホと PC があれば、誰でも簡単にこうしたパターンを作って遊ぶことができる。楽しい!

本当は iPhone 上で CRT っぽくインターレース表示をする動画も作りたかったが、GW中は別件の調べ物があるので断念した。モチベが残ってたらそのうち作りたい。

参考資料

[1] RTINGS.com, "TV REVIEWS", https://www.rtings.com/tv/reviews

[2] 栗田 泰市郎, "ディスプレイの時間応答と動画表示画質", 2012, VISION Vol. 24, No. 4, 154–163, http://www.visionsociety.jp/vision/vol24-4/vision2404_154-163.pdf

[3] Capriccioso Assai, "液晶の応答速度と残像の関係", https://capricciosoassai.blog.fc2.com/blog-entry-116.html