1. 背景と目的
- ここ数年、YouTube や Twitch などのプラットフォームでゲーム配信が流行っている[1]
- 筆者は配信を行うための機材構成やソフトウェアの設定に興味があった
- そこで、複数の家庭用ゲーム機が混在する環境での機材構成を考えてみた
- 実際に機材を準備し、複数回のテスト配信を経て、概ね想定通りに動くことを確認したので記事を残すことにした
2. おことわ り
筆者はゲーム配信を通じて視聴者数を増やすことに興味がありません。 ゲーム配信に必要な機材構成やソフトウェアの設定に強い関心があるだけです。 その点にご注意下さい。
3. 結論
自宅にある PS2、PS4 Pro、Nintendo Switch を以下の構成で接続し、ゲームプレイとゲーム配信が両立できることを確認した。
4. 結論に至るまでの経緯
4.1. 配信環境に対する要求
筆者は配信環境に対して以下の要求があった。
- ① 以下の音量を別々に調整できること
- 配信者がゲームをしながらヘッドホンで聞くゲーム音
- 配信を見ている視聴者が聞くゲーム音
- ② ゲームプレイ時の遅延が気にならないレベルであること
①の背景は以下である。
筆者は経験的に、発話をしている時と発話していない時で聴覚特性が変化することが分かっている。 配信中は多くの時間を発話しながら過ごすため、配信者が耳にする音量と、視聴者が耳にする音量は別々に調整したいと考えた。
また、筆者は OBS を使い配信を開始する前に、ゲームの起動とOBS上でのゲームキャプチャを済ませたいと考えている(※1)。 その場合、(機材構成にも依るが)何もしないと配信開始直後からゲーム音が配信者のヘッドホンで流れてしまう。
これは、ゲーム開始前にオープニングトーク等の別作業をする際に大変に耳障りとなる。 そのため配信者が耳にするゲーム音を任意のタイミングで音量できる仕組みが必要だと考えた。
※1 Capture Device がゲーム画面を認識できないトラブルを未然に防ぐため。配信開始後だと対応が困難。
②の背景は、遅延があるとゲームのプレイが困難になるからである。
4.2. 要求を満たすための対応
4.2.1. ①の要求に対する対応
①の要求を満たすため、今回の構成では HDMI Audio Extractor を用意し、 配信者が耳にするゲーム音と Capture Device に入るゲーム音を完全に分けた。
配信者がモニタリングするゲーム音は Audio I/F にて音量調整を行い、配信に乗るゲーム音は Capture Device の後の OBS 上で音量調整を行った。 これにより ① の要求を満たすことに成功した (※2)。
※2 OBS の音量つまみだけでなく、Audio I/F のミキサーも操作する必要があるため、やや操作が煩雑になるが、それほど難しくないと考えている
4.2.2. ②の要求に対する対応
Capture Device の HDMI OUT (Passthrough) をディスプレイに直接入力し、この画面を見てゲームをプレイすることで対応した。 従って OBS の画面はゲームプレイ用としては参照しない(今回の構成では OBS の画面表示には 239ms 程度の遅延がある)。
PS2 などのアナログ出力のゲームの接続についても補足する。今回の構成では最初に Analog (Composite/S-Video) to HDMI Converter を使用して HDMI に変換している。 こうすることで PS4 や Switch と共通のパスで処理が可能となり、①と②の要求を簡単に満たすことができた(※3)。
※3 最初は I-O DATA製の GV-USB2 を使たのだが、これだと①の要求を満たせず、かつ②を満たそうとすると Interlace解除に失敗する問題があり断念した。
5. 感想
こういう構成を考えるのは個人的に好きである。楽しみながら作業することができた。
本記事はテキストばかりになってしまった。本当は対策の内容を理解しやすいように、筆者が行ったテスト配信の YouTube 動画を添付したかったのだが、死ぬほど OBS のオペレーションをミスってたので載せるのは断念した(オイオイ)。
参考資料
[1] Stream Hatchet, "VIDEO GAME STREAMING TRENDS REPORT 2021 YEARLY REPORT", https://insights.streamhatchet.com/-2021-live-streaming-report-0