1. 背景と目的
iPhone 13 Pro を入手したので HDRコンテンツが素直に(※)表示されるか簡単に確認した。 ※表示デバイス側で制作者の意図を破壊するような補正が入らずに表示されるかどうか
2. 結論
筆者が個人的に使う分には全く問題の無い品質であった。 以下、個人的に確認した内容をまとめる。
番号 | 項目 | 内容 |
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1 | 1000 nits (769/1023 CV) を超えるデータの表示 | 暗い環境ではグレースケールは 1000 nits でクリップされる。有彩色に関しては 1000 nits でを超える領域でトーンマッピングが適用されているように見えるが、1000 nits までの領域しか使わない予定なので問題なし |
2 | 低輝度領域の表示 | 8/1023 CV までは黒つぶれせずに表示されており問題ない |
3 | (暗い環境での)ABL | 暗い環境では 高輝度 Windowパターンを 0%~100% でサイズ変更した際に輝度変化が無かったので問題ない |
3. 詳細
3.0 補足情報: Apple の HDR に対する考え方
WWDC 2021 [1] を参照。ただ、この内容だけだと今回の挙動は説明できない気がする。 こっち [2] も読み解く必要があるのかもしれない(筆者は読んでないです...)。
3.1. 1000 nits (769/1023 CV) を超えるデータの表示
グレースケールは以下の動画を使って確認した。この動画のチェッカーボードは、明るい側が 10000 nits、暗い側が 100~4800 nits になっており、どの輝度(に対応する Code Value )でクリップされるかが目視で判断できる。
筆者が目視で確認したところ、iPhone 13 Pro は周りの明るさに応じて表示特性が変化した。具体的には以下の通り。
有彩色については目視での評価が難しいが、以下のパターンを使って簡単に確認した。 環境光に関わらず 1000 nits より上でのトーンマッピングが確認できるが、具体的な表示特性は分からなかった。
3.2. 低輝度領域の表示
暗い部屋で10分以上待ち、目を暗順応させてから以下の動画を見た。8/1023 CV までは表示を確認できた。
3.3. (暗い環境での)ABL
OLED はABL と呼ばれる機能の影響で、表示内容に応じてピーク輝度が変化することが多い[3]。 ABL が iPhone 13 Pro でも働くのか以下の方法で簡単に確認した。
まず以下の動画を iPhone 13 Pro で再生し、それを露出固定のカメラで撮影した。
続いてカメラに記録された Code Value を DaVinci Resolve の波形モニターで確認した。結果は以下の通り。Window のサイズに依らず Code Value は一定だった。したがって、暗い環境では ABL は動作しないと判断する。
1.4% Window | 100% Window |
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4. 考察というか感想
iPhone Pro 13 は14万もしたんだぞ!俺は iPhone を HDRコンテンツの確認用の表示デバイスとして使うぞ!!
参考資料
[1] Apple, "Explore HDR rendering with EDR", https://developer.apple.com/videos/play/wwdc2021/10161/
[2] Google Patents, "Rendering and displaying high dynamic range content", https://patents.google.com/patent/US10249263B2/en
[3] RTINGS, "Automatic Brightness Limiter", https://www.rtings.com/tv/tests/picture-quality/peak-brightness#comparison_7396